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2022.02.09 鈴木 一之

「節分底」というよりも「建国記念日@底」

株式相場が少しずつ煮詰まっています。そんな気がします。

マーケットを取り巻く悪材料を数え上げたらきりがありません。米国の政策金利の引き上げ間近、バイデン政権の支持率急低下、ゼロコロナ政策による中国の景気鈍化、オミクロン変異種の感染拡大、原油価格の高騰、ウクライナ国境でのロシア軍の大規模な軍事訓練、ジョンソン首相の進退問題、半導体業界の受注ピークアウト感、企業業績の鈍化懸念、悪い円安論、東証のガバナンス改革に伴う政策保有株への売り圧力、岸田政権への不安・不信。

これだけのネガティブ要因に囲まれる株式市場は、見方によってはよく持ちこたえている方だとも言えます。高配当銘柄を中心にバリュー株がしっかりしているためでしょう。

本物のインフレの時代がやってきたら、対抗できるのは金(ゴールド)などの実物資産しかありません。株式はその代替品でもあります。債券とは違って、株式は実物の裏づけがある「物的証券」としての役割があります。だからこそTOBが横行するのです。

その株式市場が1月相場で激しい乱高下(下げの多い)を演じたのちに、少しずつですが煮詰まり感を増しています。

2月8日(火)の日経平均は始値が27,318円、終値が27,284円でした。ローソク足の実体部分は33円ちょっとの値幅です。これは1月17日の0.80円に次いで、今年に入って2番目に小さな値となりました。いわゆる「寄せ線」の形状です。

寄せ線は、天底に出現すれば「攻防の分岐点」となって相場の天井と底値を示します。1月17日の時はその翌日から株価は大きく下落しました。今年の大発会の翌日、1月5日もやはり始値と終値の差が43円ほどの小さな実体、寄せ線でした。その翌日から相場づきは一変し、グロース株が下落する日が急に増えてゆきました。

年が明けてからは寄せ線のあとに下げが続いたこともあって、今回の寄せ線にも不安が募るのは事実ですが、寄せ線はあくまで「攻防の分岐点」です。それ以後の下げもあれば、反対に上げもあります。

特に今回の相場の流れは日経平均よりも、主役はむしろTOPIXに移っています。当初はトヨタ自動車がリードしましたが、現在ではメガバンクや他の金融機関、キリン、アサヒ、大手ゼネコン、電力、ガス、百貨店などに物色が移っています。バリュー株物色というよりも、こうなると出遅れ銘柄の全面高と言えるかもしれません。

西武ホールディングスが虎の子として温存していたプリンスホテルの売却に踏み切ります。近鉄グループも京都駅前の都ホテルを売却します。かたや海外勢は日本に高級ホテルをどんどん建設しています。こうなるとマネジメントの問題で、日本企業の置かれている経営環境は相当なまでに煮詰まっているはずです。

世界の投資家の合言葉は、今も昔も「日本人が売っているものを買え」と言われます。やはり相場の転機は近いように感じます。あくまで感触なのですが「転機」などではなく、すでにもう始まっているのかもしれません。
(スズカズ)