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2022.01.06 中嶋 健吉

ニフティ・フィフティ相場を頭の片隅に!

アメリカ株が終始リードして終わった2021年の株式市場でした。事実、MSCI World  index  採用の世界の株式市場の時価総額の61.5%を米国株が占め、2011年の45.7%から大きくシェアーを伸ばしています。更に特徴的なのはSP500の時価総額も、6銘柄(アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、テスラ、メタ)で全体の25%を占める偏りになっており、その偏りから1960年中頃から1972年12月まで市場を席巻したニフティ(輝かしい)フィフティ(50銘柄)相場の再来を指摘する声が聞こえ始めています。

ニフティ・フィフティ相場を牽引したのは機関投資家でした。50年代に6%程度の株式保有比率が70年初頭には15%まで拡大しています。 機関投資家はその調査力を武器に少数の大型株の成長性が高いと判断、市場平均がPERで11倍程度に対しこの50銘柄を中心に40倍程度まで買い上がたのです。調査力もない無い個人はこうした動きに追随出来ず、金融資産に占める株式の比率は60年代の30%から70年半ばには15%迄半減しています。

ニフティ・フィフティ相場の終焉は、インフレによる金利上昇に1973年のオイルショックが追い打ちをかけます。業績の鈍化、悪化を前に市場平均を大きく上回るまで買い上げられた50銘柄は、一気に市場平均まで売られることになります。更に運用の透明性が問題になり、特に年金の運用受託者には、加入者保護の観点から運用の情報開示と責任の明確を定めたエリサ法が1974年に制定されます。
現在は個人を含め全員参加型の相場展開になっており、ニフティ相場に比べ投資家層が厚くなっており下落への耐性も強いものが有ります。しかしそれでも留意すべき点は:

  • 事業規模(分母)が大きくなっており分子の利益が相応でも利益率は落ちる
  • 規制強化の動きが強まっている
  • 主力株のPERはITバブル期と同じ水準

2000年のIT相場の終焉も高いPERに加え、OSを独占するマイクロソフトの分割論議が強く影響しています。こうして過剰までに買い上がられたニフティ相場 IT相場の後はその反省から公共株が買われています。(中嶋)