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2022.06.22 鈴木 一之

参院選の公示にあたって、日本人のひとりとして望むこと

朝起きて「さあ、顔を洗って歯をみがこう!」といちいち決意する人はいません。顔を洗ったり歯をみがいたりする行為は、オオカミに育てられた子どもでもない限り、もはやごく日常的な習慣となっていて、いまさら自分自身に強く言い聞かせる必要はないのです。

外出する時に靴を履いたり、電車に乗る時は降りる人のためにドアの前を広く開けるように脇によけたり、当たり前すぎるくらいに当たり前のことは、わざわざ強調しなくても自然と身体が動いて対処できるものです。

それが自然とできないというのであれば、いかに普段そのことを心がけてこなかったかということの表れでしかありません。そういうものが目標として大きく壁に張り出されることとなります。

経営目標のトップに「顧客第一主義」と掲げている企業があったとしたら、それはいかに顧客のことを大事にしてこなかったかを社の内外にアピールしているようなものです。本気で顧客のことを考えているのであれば、わざわざ「顧客第一主義」という標語を社の内外に宣言する必要はありません。

岸田政権が掲げる政策「新しい資本主義」では、行動目標の第一に「人への投資」を掲げています。日本企業はいかに人を大切にしてこなかったか、粗末に扱ってきたか、がこの一事でよくわかります。

「失われた30年間」の期間、日本企業は人をコストとしてのみ扱ってきました。事務仕事はサービス残業でまかなわれ、正社員と非正規社員との待遇の格差は大きく、採用はいまも新卒一括採用がまかり通っています。

遅ればせながら「人への投資」がいの一番に掲げられました。リカレント教育でも「つみたてNISA」でもいいのですが、目新しい政策を次々と打ち出すのではなく、やるべきことを何年もかけて、じっくりとやり遂げてほしいものです。参院選の公示日にあたって、岸田政権にはそれだけを望みます。
(スズカズ)