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2022.06.09 中嶋 健吉

動き始めた岸田内閣

報道各社の5月の世論調査による岸田内閣支持率は、産経新聞68.9%、日本経済新聞66%、共同通信61.5%と軒並み6%台を維、持政権発足後の最も高い水準になっています。 10月の政権発足当初、金融所得課税に触れるなど不用意な発言もあり、株式市場は株価の急落で新政権の門出を祝ったものです。 しかし直後の衆院総選挙で苦戦が予想されながら与党を圧勝に導いたことから、政権基盤は固めた、まずまずの船出と言えます。

首相の唱える「新資本主義」の分かり難さ、それを実行する具体的な政策が見えてこない為、「何もしない内閣」と批判されて来たものの、得意な外交分野で中国に警戒感を強める東南アジア諸国を先ずは訪問、日本の存在感を示し各国から一定の評価を得た様です。 コロナ対応でも、昨年の11月末のオミクロン株拡大を受け外国人の新規入国を原則禁止したこと、更にウクライナ問題でも迷わず欧米と足並みを揃えた事などが支持率の向上に繋がったのです。 ウクライナ問題が複雑化するにつけ各国要人の訪日が相次ぎ、大きく報道されたことも寄与したと言えます。 特にドイツのシュルツ首相が就任早々に来日し、脱中国,親日本の姿勢を明確にしたことは驚きをもって迎えられました。 前任のメルケル氏が2005年の首相就任以来、中国には11回訪問しながら日本にはたった5回だった経緯が有ります。 5回目になる2019年の最後の訪日は、唐突でかつ1泊2日の短いもので、単なる数字合わせかと言われたものです。

そうした流れを受け飛び出したのが、5月5日のロンドン・シティでの講演です。 今回発表になった骨太の方針に先行するもので、国際公約に近いものとして受け止められています。 その実行に当たっては小泉、安倍、菅元首相の様なトップダウ型ではなく、周囲の話をよく聞く調整型との見方が一般的です。 その為海外機関投資家から岸田政権に期待する声は殆ど聞こえません。 そうした低い発射台からのスタートですので、小さな成果でも大きく評価される可能性があり、決して悪い話ではないのです。

個人的には岸田首相には「ツキ」があると思っています。 菅前首相の自滅に近い退陣、総裁選での対抗馬の不人気など、流れが自然に出来上がった感が有ります。 野党の力不足もあり、7月の参院選挙でも政権与党の圧勝が予想されます。

事前予想が一方的な場合、反発の心理が働きその様にならないことが多いのですが、今回はコロナ、ウクライナ問題に進展が見られない為、有権者は政治的混乱を嫌い絶対安定政権を望むはずです。 タブー視された防衛費の増額、原子炉の再稼働も反対を難しくする世界情勢が有ります。 今までの政権を揺るがしてきた消費税問題も完全に封印されており、政局化することは有りません。 各マスコミが指摘する様に参院選挙が終われば3年後の次の参院選挙まで国政選挙は有りません いわゆる黄金の3年間が始まります ここにもツキを感じます。 少し独断が過ぎましたが、ツキの有るトップを戴くのは決して悪い話ではないのでは。