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2022.05.25 鈴木 一之

5月25日(水)の相場雑感

鈴木一之です。5月25日(水)の午前の「東京マーケットワイド」の放送が終わりました。NY株式市場が歴史的な8週連続での下落を記録したあとの週だけに、すでに水曜日になっているとはいえ、自分の担当の時はやはり緊張します。

本日の相場の動きを一部分、備忘録代わりに記録してみます。野球観戦で言えばスコアカードみたいなものです。私にしか利用価値はないかもしれませんが、書きためておくと価値が出てくるかもしれません。

NYダウは小幅上昇して引けました。しかしNASDAQは▲2%の下落で東京市場に引き継がれました。SNSのスナップの業績ダウンが市場の話題を集めました。広告収入の減少により株価はわずか1日で▲43%も下落しました。

スナップにつれ安する形で、メタ(旧フェイスブック)が▲7%下落し、テスラも▲8%下がるというテクノロジー株の軟調さが際立ちました。ダウ構成銘柄ではアップル、ビザ、アメックス、ボーイングが下落して、コカ・コーラ、P&G、ジョンソン&ジョンソンが値上がりしています。

企業業績の悪化を伝えるニュースに市場の関心が集中しています。普段はさほど注目されることの少ないはずの、5月のリッチモンド連銀景況感指数が▲9となり、前月の+14から急低下したという発表にも神経をとがらせています。

ネガティブ要因と言えば、4月の米・新築一戸建て住宅販売件数が▲26.9%も急低下したことも大きく取り上げられました。販売件数は予想の75万戸に対して、実績は59万戸にとどまっています。経済統計の弱い動きがこのところ続いており、しばらくは米国の景気動向を示すマクロ経済統計から目が離せなくなっています。

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先週の米国株式市場では、NYダウ工業株の週間の連続安記録が8週間に伸びました。90年ぶり、60年ぶりとも指摘されます。このような連続安記録にどれほどの意味があるのか、実際にはわかりません。より本質的な部分では、連続安に至る理由です。

当初は「インフレ→金利上昇→株価下落」という流れが定着していました。それがいまでは「景気鈍化(後退)→金利低下→株価下落」という理屈へと変化しています。それが何よりも気になります。

表面的に目に見える「株価下落」という部分は変わっていませんが、その理由が「景気鈍化→金利低下→株価下落」へと正反対に変わったところが特徴です。8週間の連続安はふたつのシナリオが重なって形作られていることになります。

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反対に日本で発表される経済統計は、米国とは逆にかなりの健闘を見せています。4月の百貨店売上高は前年比+19.0%で、2か月連続して伸びました。同じく4月のスーパー売上高も8か月連続でプラスとなっています。

4月の首都圏マンション販売は前年比+16.1%と伸び、2ケタの伸び率は今年初めてです。契約率も79.6%に高まり、コロナ危機後では2番目の高さとなっています。良質な物件がもはやなくなっていると首都圏では見られているものの、相変わらずの低金利で不動産市場は安定して伸びています。

アナリストからはポジティブな企業評価も目立っています。岩井コスモ証券は日東電工(6988)の投資判断を「B+」から最上級の「A」に引き上げました。SBI証券はルネサスエレクトロニクス(6723)の目標株価を従来の3,000円から3,800円に引き上げています。

トヨタ自動車(7203)は6月の世界の生産台数の計画を、それまでの95万台から85万台に▲10万台引き下げましたが、それで株価が大きく売られるということはありません。外国人観光客による訪日旅行の解禁に向けて、成田空港では実証実験が始まっています。マイナンバーカードの健康保険証への適用があらゆる日本全国の病院に対して義務づけられる方針です。

さまざまな分野で新しい動きが始まっています。デジタル化で大きく遅れをとった日本は、最先端システムを導入できるという点で先頭を走っていると見ることもできます。ものは考えようです。インターネット黎明期もそうでした。来週ははや6月。アジサイの花のしっとりと色づき始めました。梅酒を漬け込む季節です。
(スズカズ)