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2022.05.12 中嶋 健吉

もう避けては通れない国防議論

日本人は「水と安全はタダだと思っている」、半世紀前に山本七平氏がユダヤ名

イザヤ・ベンダサンを名乗り、水と安全は自ら勝ち取らなくとも、与えられる物と考える無自覚な日本人に警鐘を鳴らした言葉です。

日本では長く、防衛費はGDPの1%以内に収めるべきとの不文律が有りました。 1976年の三木首相時代から、市民権を得た議論と記憶しています。 其ころ日本は大きな経済成長の最中で、GDPが急拡大しており、1%未満でも防衛費そのものは規模的には拡大を続けることが出来たのです。

問題はバブル崩壊後の日本です。  名目GDPは1990年の453兆円が30年後の2020年でも526兆円に過ぎず、30年かけても16%のみの拡大です。 その間中国のGDPは53.5倍、韓国9.5倍、最大規模のGDPを誇る米国でも3.6倍を達成しているのです。 横ばいを続ける日本の防衛費に対し、防衛費の絶対額では中国は既に日本の6倍、気が付けば韓国にも抜かれているのです。 

こうした状況の中、起こったのがロシアのウクライナ侵攻です。 当初冷淡とも見える援助を表明したドイツ、アメリカが、その援助を質量ともに急拡大したのは、ウクライナが自ら多大な犠牲を払って徹底抗戦を続けた為です。 日本に置き換えれば日米安保条約で、アメリカの支援が期待できるとしても、先ずは「自分の国は自分が守る」、この当たり前の行動が無ければ同盟国からの血の通った支援は期待できないはずです。

本日「経済安保法」が国会で成立したのは、安全を確保するための具体的な指針の作成が始まったことを意味します。 4月26日には自民党安全保障調査会が防衛力強化を正式に政府に提言しています。 GDP比2%以上の防衛費を念頭に5年以内に必要な予算水準を達成することが骨子です。 各種世論調査でも50%以上が防衛費増額に賛意を示している現状を考えると、7月の参院選挙での自民党の公約になる可能性があり、選挙結果次第では具体艇に動き始めるでしょう。 欧州各国が防衛費の大幅増額を発表していることも追い風です 今までタブー視されていた防衛費増額論議が公にできる、歴史的な転換期に来ているのかもしれません。