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2024.01.11 鈴木 一之

【放送後記:2024年1月11日(木)後場】

「日経平均は35,000円乗せ、バブル崩壊後の高値を更新」

◎日経平均(11日大引):35,049.86(+608.14、+1.77%)

時価総額:869.2兆円(10日、以下同じ)
PBR:1.35倍
PER:15.24倍
利回り:1.89%

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1月11日(木)の東京株式市場は日経平均が4日続伸して、35,000円(+608円)の大台を突破しました。

終値では1990年2月以来、33年11か月ぶりの高値です。バブル崩壊後の高値を3日続けて更新しました。

昨日発表された毎月勤労統計で、実質賃金の伸びが▲3.0%となったことから、日銀の金融政策の変更(マイナス金利の解除)はまたもや遠のいた、との見方が出始めています。

「3日続けて」と言えば、米国ではエヌビディアが同じく3日続けて史上最高値を更新しています。両者(エヌビディアと日経平均)はどこかしら連動していて、東京エレクトロン(8035)が上場来高値を更新して日経平均を引っ張りました。ディスコ(6146)も高値更新です。

アップルにはアナリストからネガティブな投資判断が相次いでいます。「買い」から「中立」に引き下げる動きが昨日も明らかになりました。製品販売の上振れ余地がほとんどない、というのがその理由です。

東証ではほとんどすべてのセクターが上昇していますが、特に目立って上がったのが、輸送用機器(トヨタ自動車:7203)、証券(野村ホールディングス:8604)、卸売(伊藤忠:8001)、電気機器(ソニーグループ:6758、日立:6501)です。

各業種の代表銘柄がそろって値を飛ばしました。海外投資家のマネーと見られるかなり大きな資金が動き始めていることが実感されます。

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日経平均は4日続伸し、昨日(1月10日)の+678円に続いて、本日(1月11日)も+608円と大きく上昇しています。テクニカル指標では、ボリンジャーバンドの+3σの水準まで買われており、通常であれば今の上昇ペースはそう長続きするものではありません。

しかし通常でないならば、まだ上昇する余地はありますが、それにしても一息入れる必要があります。TOPIXは年末年始をまたいで6日続伸を記録しており、サイコロジカルラインは「10」に達しています。明日も上昇すれば「11」となります。

ただ、日本取引所グループ(8697)は+109円高の3161円、+3.57%で小さな動きにとどまっています。まだ本格的な高値を取ってはおりません。本格的な動きはここから、という感じもあります。

さらに昨日に続いて、半導体商社の東京エレクトロンデバイス(2760)が強い動きを維持しています。半導体関連株はまちまちで、レーザーテック(6920)はマイナス、ルネサスエレクトロニクス(6723)、ソシオネクスト(6526)も今日はさほど派手な動きにはなっておりません。

その一方で、マクニカホールディングス(3132)が+450円、+5.86%です。このあたりの銘柄の株価が活発に動き始めたところを見ると、やはり半導体の需要が実社会では相当に出てきているのだろうと推察されます。エヌビディアだけの動きではなさそうです。

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株価の好調さばかりではなく、弱い方の代表としてはモノタロウ(3064)。株価は▲4.27%でした。

東証グロース市場をはじめ、小型グロース株は総じて軟調です。12月の月次売上高が昨日発表され+10.0%でした。11月が+11%、10月が+14%で2ケタの伸びですが少し弱くなっています。新規アカウント数の伸びが昨年1年間の最小となっており、少し勢いが落ちています。

コロナ禍の時期に業績は相当伸びたのですが、世の中が落ち着いてきて巡航速度の成長に移ったということでしょうか。

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【今日のマル・バツ銘柄】

マル:KDDI(9433)上場来高値を更新。今・来期も最高益更新の見込みです。

バツ:サイゼリヤ(7581)第1四半期の決算で急落。しかし内容はきわめて好調です。

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【市場参加者の声】

「株価上昇の理由は、日本もインフレに突入、東証からの経営改革の要請、テクノロジー株の上昇、インバウンド需要、の4つですね。」

「日経平均の上値目標は、短期的には押しの同幅上げの35,491円、下値のメドは(5日移動平均の)33,996円でしょうか。」

「年初3日間の星取りでは今年は「●〇〇」でした。これは1949年の東証開所以来、8回あって、このパターンだと年間では勝率は6勝2敗となります。2019年(年+20.9%)、2023年(+30.1%)と同じで、かなり強い上昇があるかもしれません。」

「NASDAQ100の今年の増益率見通しは+21%、来年は+15.9%と堅調です。」

「米国市場の今年のリスクは、金利の再上昇、景気の後退、地政学、大統領選、中国、の5つですね。」

「日経平均の1株利益は現在、2,266円です。1年後に2,380円に上昇する見通しで、これにPERが16倍になると、掛け合わせて38,000円くらいになります。」

「格言では「辰巳天井」と言いますが、調べてみると辰年に天井を打つことはなさそうです。」

「インフレへの転換と資産所得倍増プランが重なって、まるで1950年代前半のようなすごい上昇相場が来る可能性があります。」

「1929年の「暗黒の木曜日」からの立ち上がり局面と、今の東京市場の株価チャートの形状はよく似ています。52,000円くらいまで行ってしまうかも。」

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【今日も気になる材料、ニュースが満載】

カネカ(4118)、ビル壁面で発電、生産3倍、高性能電池をガラスと一体で

カネカと大成建設(1801)はビル壁面の建材と一体化した太陽光発電パネルの年間生産量を2030年までに現在の3倍(年産30万平方メートル、東京ドーム6.4個分に相当)に増やす。

都心部では太陽光パネルの設置場所が限られており、窓ガラスやビル壁面に潜在需要がある。

世界の建材一体型の太陽光パネルの市場規模:2028年に548億ドル(8兆円)、2022年比で3倍(インドの調査会社IMARC)

建材一体型の太陽光発電の導入が可能な立地の総数:82.8ギガワット(設備容量ベース)、これは日本国内で稼働中の太陽光発電の導入実績(2022年度末で87ギガワット)の95%に相当する。太陽光発電協会。

カネカのほかにも、長州産業、シャープが生産。

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〈今期業績を聞く〉
ENEOSホールディングス(5020)
常務執行役員・田中聡一郎氏

2024年3月期の営業利益は3700億円(+50%)在庫影響を除く。
2026年3月期までの第3次中計で5600億円に引き上げる目標。

・既存事業の業務効率化、ビジネスプロセスの改革で、3年累計で1000億円の収益改善をめざす

・ROIC目標を公表、ポートフォリオ経営を推進

・ROICがWACC(加重平均資本コスト、期待収益率)を3年連続で下回ったら、その事業を抜本的に変える。ポートフォリオを見直す。

・再生エネなど次の成長事業に先行投資していく。現在はリターンは低いが2030年くらいに花開いてくる。

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貸会議室の利用料が上昇、2年で+10~15%、オフィス縮小で駆け込み

「料金は高くなったが、会社に部屋がないから借りるしかない」

東京・丸の内エリアの貸会議室の平均利用料金:
収容人数1~10人でが6771円/時、51~100人で1万5421円/時
(「会議室セレクト」運営のCyujo調べ)

貸会議室事業者は、光熱費や人件費、機材価格の上昇を理由に会議室の料金を相次いで引き上げている。背景には、会議向けの需要回復とオフィススペースの不足がある。

「新型コロナの5類移行をきっかけに利用が増えている。対面を大事にしたいという思いから、料金が高くても立地・設備が良い貸会議室に需要が出ている。」

オンライン会議が定着した影響も大きい。オンライン会議に適した場として、通信環境などが整う小規模な部屋のニーズが強い。

会議の需要が戻る一方、オフィスのスペースは縮小したまま。

「コスト意識が強まり、大企業では会議用の部屋を持たない流れが一般化する。」

会議は必要だが、自前の部屋を持つほどではない。貸会議室の料金上昇は、企業のオフィス戦略の変化を浮き彫りにしている。

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コカ・コーラボトラーズジャパン社長、カリン・ドラガン氏

2023年は2回、値上げした。飲料値上げは今後も続く。

かつて飲料業界は量だけを競い合っていた。今は「大型・小型ペットボトルなどの商品構成、数量、値上げ」の3本柱で売り上げを管理できるようになった。

2023年1~9月の販売数量は+4%の成長、売上げは+8%増えた。半分は夏の猛暑、残り半分は値上げによる。

価格が上がっても販売数量は増え、小売サイドから理解されるようになった。2023年は転換点になった。値上げを発表しても小売が驚かなくなった。交渉スピードも速くなった。
砂糖やコーヒーなどあらゆるコストが上がっている。値上げを推進する決意は固い。

日本経済が本気でインフレの道を進んでいくのであれば、値上げはこの2~3年だけではなく生活の一部になっていく。

欧州の消費財メーカーは少なくともインフレ率と同じくらいは毎年値上げしている。それがルールのようなものだ。

利益を出せば株主還元や人材への投資もできる。値上げが減速すれば日本経済はまた停滞してしまう。

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以上