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2022.06.16 中嶋 健吉

マスクに関して

初めて日本を訪れる外国人が驚く日本的なものは多々あるのですが、ほぼ例外なく挙がられるのが、日本人が当たり前の様にマスクをしている風景です。  かって海外に赴任していた時も、日本から帰国した顧客から「なぜ?」とよく質問されたものです。 彼らがマスクをするのは、病を持っておりそれを他人に「うつさない」為であり、マスク着用は自ら病気持ちであると宣言しているに等しいことのようです。  一方我々は「うつさない」意識は当然として、それ以上に「うつされない」自己防衛と衛生管理の気持ちが強いのでしょう。 そうした意識で海外旅行中にもマスクを着用し、現地人から電車バスで距離を取られたりTAXIで乗車拒否されたりの話を聞きます。

コロナ感染はこうした欧米人の意識を変えたのでしょうか。 コロナ禍が問題化しない2020年3月頃の着用率は数%だったものが深刻化した2021年3月以降では80%台まで急伸しています。 これはマスク着用が義務付けられた為であり、一方自主着用の日本が90%を超えたことを考えると、やはりマスクへの日本人の意識の高さが分かります。 日本でマスクが一般化したのは1918~20年のスペイン風邪の猛威からと言われています。 日本でも2400万人以上が感染し、死亡者数も40万人を超えた社会を揺るがす惨事です。  政府主導でマスク着用が推奨されたのが、広範囲に使用された始まりと言われています。 戦後も高度成長下の公害問題、相次ぐインフルエンザの流行、そして花粉症とマスクの需要は途切れなかったようです。 学校給食の配膳係がマスク着用したことから、マスクは衛生的との先入観が植えつけられのかも知れません。 欧米でマスクが一般化しなかったのは謎ですが、冒頭述べたように「病気持ちがするもの」とは知り合いの外国人のほとんどが指摘しているのが答えかもしれません。

最後に2021年4月の東洋経済に面白い見方を紹介していました。 人の感情を読み取るのに西洋では口元、日本では目元を見るというものです。 日本人には抵抗感の有るサングラスは西洋では一般的です、 一方口元を覆うマスクは西洋人には抵抗があるのです。 なるほど一理あるなと思った次第です。 こうした背景を考えると、外国人旅行者にマスクを強要するのも難しいのでしょう