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2024.11.24 小川 真由美

ある証券マンの1日

証券マンの朝は早い。

7時に会社に着くためには、毎朝4:30に起きて始発の電車に乗る。

同じ車両の同じ位置。左端のいつもの席に座る。

いくつ目かの駅で隣にいつもの男性が乗ってくる。

当然ながら乗る駅も座る席も降りる席も定番。

言葉を交わしたことはないけれど、隣に座り慣れているので互いに作法が決まっている。寄りかかることも荷物が相手の陣地を侵すことも遠慮しすぎることもなく程よい距離感が保たれている。

いつもの電車。学生で時の流れを知る。あれ?今日乗ってこないな、そうか夏休みか。あの子も最近見ないな、そうか部活引退して朝練がなくなったんだな。しばらく見ないけど…そうか卒業したのか。そして車両にはいつものサラリーマンのメンバーが残る。

新聞を読んだりその日の取引のシミュレーションをしたり、時に居眠りしたりする。左端に座り慣れているので、左に傾いて寝る。これなら隣の人には迷惑をかけない。長年同じ席に乗る間についた癖だ。そうこうするうちに通勤電車はまず隣の人の目的地に着く。

今日も同じ駅で降りて行く。

たまにお隣さんが寝てしまって起きない時は心配になる。駅だよ、駅だよ、到着するよ。声を掛けるのも憚られるのでちょっと身体を動かして相手に違和感を与えてみたりする。あ、起きた。良かった、今日も互いに頑張ろう。そして自分の駅がやってくる。さぁ、俺も今日一日頑張ろう。

滅多にないことだけど、たまに隣に違う人が座ったりする。横向きに膝に置いた鞄が脚に当たって起きてしまう。おい、俺の陣地だぞ、無作法だ。鞄は縦に置いてくれ。気持ちよく寝ていたのに損をした気分だ。

顧客への電話にトレード、いつもと同じ目まぐるしい一日。ホッと一息のランチはお弁当。もう何年も昼食で外に出かけたことはない。お昼を食べながら午後の戦略を練る…

今月から取引時間が延長になった。たかが30分、されど30分。長年身体に染み付いたリズム、しっくり来るようになるのはいつのことだろう。

今日も一日無事に仕事を終えた。

朝が早い分、夕方も毎日17時には退社。自分の時間を楽しみに我が家に帰る。帰りの電車もいつも同じ。朝みたいに最初から座ることは出来ないけど、いつもの人の前に立って吊り革に捕まる。今日もお疲れ様です、心で呟く。次降りる駅ですよ。良かった、どさっと座る。帰り道は要注意。朝の習性で左に傾いて寝てしまうとお隣に迷惑を掛けてしまう。傾かないように傾かないように…ハッすみません。さぁお家に帰ろう。

日課のスポーツクラブが待っている。

友人の証券マンの話をブログにしました。

ザ・サラリーマン。俺も同じ人生を歩んできた。櫻井キャスターが大きく頷いています。